第一章 天使と過ごす

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 母はそれが、 すごく可笑しいらしい。 母だけじゃなく、 時折、寺に来る人も、 ギョッとして固まっている。 宗教が違うと誰かが言っていた、 何かの対立なのか?とか、典史兄ちゃんも色々大変らしい。 「ボクも寺に行ってくる、それからおやつ」  僕は寺に走って行った。 寺の大広間には、人が集まって、 父の説法を聞いていた。 邪魔にならないように、 そっと襖を開けて、兄ちゃんを探す。  窓の傍に、 寄りかかり眠っている兄ちゃんと、 兄ちゃんに寄りかかって眠っている典史兄ちゃんを見つけた。  典史兄ちゃん、 夜中まで霊能力者や占い師で働いているし、 日中は高校生なのだから、 くたくただ。 だから、父も眠ってしまっても、 怒れないのだろう。
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