第一章 天使と過ごす

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 でも、そっと近寄って見て分かった。 ここは陽だまりのように、柔らかく輝いていて、 皆、 たぶん見守っていたのだ。 優しい時間は、永遠じゃないけど、 見ていて幸せになれる。  僕もここで眠りたい。 兄ちゃんによりかかる典史兄ちゃんは、 本当に兄ちゃんを信頼していて、 穏やかに眠っている。  兄ちゃんは、ファンクラブがあるというから、 多分かっこいいのだろう。 でも、典史兄ちゃんは、 近寄ってはいけない感じもする綺麗な、 すごく綺麗な人だ。  典史兄ちゃんのこの真っ白な羽を見てしまうと、 自分の色の汚れが分かってしまう。 遠くから見ているといいけど、 近くで見たら、怖いと思うと母さんは言っていた。 だから、 典史ちゃんはいつも一人ぼっちで生きてきたのよねと。
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