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膝の上に座ると、
典史兄ちゃんはいつもリンゴのような香りがする。
人間は罪を持っている、それを自覚して生きること。
説法が身に染みる、僕はこの典史兄ちゃんが、
世界中で一番好きだ。
初めて、
母さんよりも好きになった人が、
典史兄ちゃんだ。
すごく綺麗で、危なっかしくて、
優しくて強い。
兄ちゃんが、
僕の霊障のために、連れてきた人。
僕は、一目で典史兄ちゃんが大好きになった。
「終わったみたいだ、帰ろう。
一穂」
兄ちゃんは、眠ったままでいい。
僕が、典史兄ちゃんを独占する。
「あっ」
父が、こちらを向いて小さく驚く。
典史兄ちゃんの羽は、
壁や戸をすり抜けるのだけど、
見えてしまうとぶつからないかと心配になる。
本人は、全く気にしていないみたいだけど、
周囲はちょっとハラハラする。
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