第2話 ランナー

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二時間前… 私はお目当てのフィギュアを購入し、意気揚々と帰りの坂道を上っていた。 深夜アニメの『お惣菜ハンターカオリ』に出てくるキャラクター"越前カオリ"のフィギュアは、背中のリュックの中に入っている。 家に帰ったら部屋のどこに飾ろうか?とわくわくしていると、どんどんどんどん歩くのも速くなっていく。 ん? 何やら地鳴りのような揺れが響いてきた…気がした。 が、すぐにおさまったので、気のせいかと思った次の瞬間… 坂の上に沢山の人影が突然現れた。 その人影達は皆、血の気の引いた表情で走ってこっちへ向かってきていた。 人数は20人くらいいるだろうか… 地鳴りが再び響いてきた。 地鳴りの正体は、この人物達の走る音だったのだ。 息も絶え絶えの人物達は、老若男女問わず色々だ。 共通するのは、皆、背後から迫る何かに恐れおののき逃げている様子であるということだ。 しかし、彼らが何から逃れようとしているのかは分からない…。 …が、彼らはこちらに向かってきている。 つまり、このまま坂を上れば彼らとすれ違い、その恐怖の対象と直面することになる。 …選択肢は一つしか無かった。 私は振り返ると、真っ直ぐに走り出した! 20人の先頭に立って…!
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