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学生時代ぶりの内田君と思い出話で盛り上がりながら、走ってきた道を歩いて戻る。
内田君も、深夜アニメが好きみたいで趣味も合うことが分かりかなりテンションが上がった。
万引きの話もした。
最近は万引きが多発していて、そのせいでお店が潰れることも多くなってきているらしい…。
だから、あんな20人もの数で命に関わるような顔で必死に追いかけてきてたんだなー…
そう思っていると、またしても頭の中にクエスチョンマークが浮かんだ…。
…ということはさっきの20人は全員あのカオリを売っていたお店の従業員ということか…?
しかし、私は覚えていた。
あの20人には老若男女問わず色々な人がいた…。
あんな小さな少年がお店で働いてるわけないし、あんなおばあさんが働いてるわけない。
それに、あの表情はやはり本当に直接的に命の危険に晒された人の表情だった。
…ということは、どういうことだ?
「うわあああーー!!!」
突然、内田君が叫んだ。
内田君はその場にへたり込み震え出した。
私は胸騒ぎを覚え、ゆっくりと内田君の視線を追った…。
うっ…
そこには、うつ伏せに倒れている血塗れの男性がいた。
服装を見ると、内田君と同じエプロンをつけている。
どうやらあのお店の店員さんのようだ。
でも…どうして…?
恐る恐る見てみると、背中に刃物で刺されたような傷があるのが確認できた。
目の前に血塗れの人が横たわっているのに、現実味が無く、驚く程に感情の動きが無かった…。
え?
私は驚いた。
視線を前へ前へ移していくと、長く長く続く道に幾つもの体が横たわっていた…。
背中から血を流しながら…。
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