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これは…
これは…誰かが襲ったんだ!
刃物を使って、次々と人を襲ったんだ!
その刃物を持った恐ろしい通り魔から逃れるために、皆逃げてたんだ!
でも、逃げ切れずに皆やられてしまった…。
そして、その中の2人だけがあの店の店員さんで、通り魔に気づかずに万引き犯である私を追って…
「うぐっ……!!」
苦しそうな声の直後、バタリと隣の内田君が倒れた。
"内田君!"
そう叫ぼうとしたが、声を出す前に何かが自分の体を貫いた。
赤い鮮血がほとばしり、地面に倒れ込む…。
私は見た…私を見下ろす悪魔の顔を…。
その顔はあのニュースでやっていた連続通り魔事件の指名手配犯の顔であった…。
しかし、
私にとっては、リュックから飛び出してしまったカオリの方が大事だ…。
カ…カオリ…。
必死にカオリに手を伸ばしたが…
…………
手が届く前に、私は息絶えてしまった…。
遠くからパトカーや救急車のサイレンが響いてきた…。
赤い血溜まりの中で、"カオリ"だけが一人キラキラした笑顔で宙を見つめていた…。
(Fin.)
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