第1話 ボックス

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俺の分身が息絶えた… 亡骸を抱いて俺は数秒固まった… は! 明日は大事な会議が朝からある。 スマホがコレでは急な変更があったりしたら大変だ。 しかし、もう携帯ショップは開いていない…。 そうだ!リサイクルショップに行って中古のスマホを買おう。 SIMカードを変えれば解決だ。 だが、野球中継には間に合いそうにないな… 俺は野球が好きだ。 野球中継は必ず番組開始から最後まで見届けたい。 録画をして、右を見ても左を見ても何かしらの情報が入ってくる今の社会の中で耳を塞いで結果を伏せてでも見たいのだ。 家には妻がいる。 妻に連絡して、録画してもらおう。 韓国ドラマと時間がカブるが我慢してもらおう。 あれ?動かない… あ! そうか… スマホは水没したのだった…。 どうしよう… …その時、俺の目の前に光が見えた。 四角い大きな箱があり、その中に緑色の電話が設置されている。 いつも「こんな電話、今時誰が使うんだよ!」とか言っててごめん。 俺は心の中で謝りながら、電話ボックスの中に滑り込んだ。
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