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その時、1人の男の人が私に向かって駆け寄ってきた。
「大丈夫ですか?俺の肩につかまって。せーのっ」
彼の肩を借り、私は何とか立ち上がることができた。
「…すいませんありがとうございます……」
「いえいえ、それより歩けますか?救護室に行って手当てして貰ったほうが良いんじゃ…」
「いえ、大丈夫です。本当にありがとうございました、失礼します」
本当は全然大丈夫なんかじゃない。でも、足の痛みよりも恥ずかしさと申し訳なさと情けなさが何倍も勝って、気付いたら私は男の人へのお礼もそこそこに早々と歩き出していた。
「あっ…ちょっと待って!定期!定期落としてますよ!」
「!!」
「はい、どうぞ」
「…ありがとうございます……」
…死にたい。定期を受け取ろうとするが、何故か彼の手は定期を離さない。
「……………あ、あのー…?離して頂いても良いですか…手…」
「…き……」
「…え?」
「……ゆう、き……星野優姫さん…………?」
「えっ?そうですけど…」
「……っと………やっと見つけた………!」
「はい?」
「やっと見つけた…!!俺の運命の人………!!!」
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