Never say never

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ということで、黒ブチダテメガネとさらさらストレートにしてみた。 花火の日から1週間ぶりに俺の家にきて、俺を見た空の表情がとてもとても微妙なものになったのは言うまでもない。 俺にイメチェンさせようというのがまちがっている。 髪は別にいじってもいない、寝癖を隠しただけの無造作ヘアというものだし、服は適当に目についたものを着ているだけにすぎない。 お洒落しろと言われそうなくらいの、外見を整えることをしない男である。 真面目秀才風にしてみても、長続きはしない。 ストレートにするのもめんどくさくなって、ワックスを手につけて軽く整えるほうが楽。 メガネもダテだし、邪魔になってはずしてしまう。 じゃあ次は髪も少し伸びてきたし、茶髪にしてホスト遊び人風にでも。 などと、空の反応を楽しんで遊ぶようになってきた。 何をやっても俺は俺のナチュラルに戻るけど。 「……坊主に」 よし。次は坊主か。 思えば、親の趣味なのか坊主にしたことがなかった気がする。 やってみようと乗り気になっていたら。 「嘘だってばっ。そのままでいいよ、もうっ」 空が止めてくる。 「五分刈りくらいにならしてみていい?楽そう」 「絶対だめ。りっくんがやると小学生の子供みたいになる」 「それは俺が童顔と言いたいのか?」 「童顔」 空はこくんと頷いてくれて、微妙にうれしくない。 どちらかといえば、年より上に見られたい年頃。 空のほうがお姉さんになってきているし、年上に見られそうだ。 思えば、空が小学校5年くらいのとき、一気に背がのびて、俺より高くなった。 今は俺のほうが大きいけど、あの頃のような、どこか置いていかれる感が出てくる。 「女ウケしなさそうなのって五分刈りじゃ無理?空ウケって女ウケしなさそうなのだろ?」 「私ウケ狙っていたの?」 「もちろん。空に気に入られたくてやってる。笑わせようとしているのも少しはある」 「笑いのウケはいらないってばっ。 …もういいよ。りっくんはそのままで」 「じゃ、空も変わらないで」 「それは無理な相談だ」 「なんでだよっ?」 「りっくんに似合う女を目指してるから」 思いがけない言葉をいただいた。 俺に似合う女? …どんなのだろう? 花乃は確かお姫様といっていた気がする。 …空にお姫様は無理だと思う。 中身、たぶん俺がうつってるし。
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