Hello

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そういうつもりでもなかったけど、声を抑えさせることに興奮して、めいっぱい楽しんで。 イッてすっきりしたあとになって、かけた音楽もきれていたことに気がついた。 俺の耳に聞こえるのは、ギターの音。 アコースティックギター。 じゃかじゃか弾いている音に、こっちの物音を消そうとされている気がした。 いや、ありがたいけど。 バレてるよなと思うと、隣の幼なじみに顔を合わせづらい。 同性なら普通に自慢でもなんでもしてやる。 初めて俺に彼女ができたくらいから、あの幼なじみとは疎遠になってきている。 次するときは彼女の家に上がり込むほうがいいのかもと考えていたら、俺の背中に抱きついてくる彼女。 「りーく。ちゅっ」 なんて甘えたかわいい声でキスをねだられて、俺は彼女にキスをする。 ふわふわした緩いパーマのあたった長い髪。 裸のままの体は適度な胸の膨らみと、細い腰。 俺の友達は揃ってかわいいとべた褒めする彼女。 できるなら別れることなく、ずっとラブラブのイチャイチャで楽しくいたい。 女にモテるほうだと思うけど、次々と乗り替えて遊んでいるつもりは俺にはない。 彼女は何度も何度も俺にキスしてきて、その手は少し大胆に俺の下半身を撫でてくる。 「花乃、ちょっと…、手、なんか…」 俺はさわられることから逃げるように彼女の手を握る。 彼女は俺をじっと見ながら、俺の下半身を大きくさせるつもりのように擦りまくってくれる。 俺のほうが恥ずかしい。 性欲ないわけじゃないけど。 もっともっと満足させてからイかないと、何回もしてとなるらしい。 「隣に聞こえるよ?ギターの音聞こえてくるくらいだから」 俺はやんわりと今日のところはやめようと言ってみる。 「男の人?隣。ギター、上手」 彼女は窓のほうを見て、その音に耳を傾けて聞く。 「1つ下の女。同じ学校にいる。幼なじみだよ」 「…かわいい?」 少し嫉妬したかのように聞かれた。 俺はその顔を思い出してみようとして。 隣の家、こんなに近い場所にいるのに、挨拶さえもしばらくしていないことに気がついた。 顔、忘れそう。 「メガネのショートカット。たぶん男っぽい」 俺が思い出せるところで答えてみると、彼女はそれならいいといったように笑ってみせる。 …俺、でも…。 俺にとってあの幼なじみは…かわいい。
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