苦くて、甘い。

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視線を逸らして私にそう問いかける柾紀さんの耳はほんのりと赤かった。 「好き、です……」 色んなことが頭中を駆け回る。 でも口から出たのは、そんな安直な言葉だった。 「ずっとずっと、好きです……」 溜まりに溜まった想いは、涙となって溢れて来た。 ただただ涙を流す私を、再び柾紀さんが抱き締める。 「お姉ちゃんは……どうなったんですか」 「うん、別れた」 「別れ、たんですか……?」 「うん。もう菫しか、目に入らないから」 たどたどしい私の質問に穏やかな声で答える柾紀さん。
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