第1章

2/3
前へ
/3ページ
次へ
小鳥のさえずりで目が覚めた。 カーテン越しに差し込む日射しが眩しい。 自分で起きたのなんて久しぶり! まだみんな寝てるみたい。 それだけのことがなんだか嬉しかった。 思わず飛び起きた。 「寒っ!」 ダメダメ。寒いなんて言ってる場合じゃない。 今日はなにがなんでも大井先輩と同じ車両に乗って、あの作戦を決行しなくちゃ! 私の人生がかかってるんだから! お母さんは起きてた。 「春、早いわね」 「おはよう、ちょっと今日急いでるから」 「ご飯食べないなの?」 「途中で買ってくから大丈夫」 急いで制服に着替えると飛び出るように家を出た。自転車に乗り途中、コンビニに寄った。 これが悪かった。 いつもよりもレジが混んでいる。 レジでは男性の店員が困った顔をしている。 その前には一人のおばあさんが一生懸命何かを訴えている。 「じゃなにかい、お前さんはこの私に孫を裏切れっていうんだね」 「いや、うちとしてはお金払ってもらわないとどうしょうもないんですよ、わかってくださいよ」 よく見るとおばあさんの手には一本のボールペン。 え?!まさかそのボールペンで言い合いになってるの? 「これ一緒にお願いします!」 私は自分のサンドイッチと一緒におばあさんの手の中からボールペンを取りあげ男性店員に差し出していた。 おばあさんは私の名前きいたりお礼言ったりしてたけど、それどころではない私はお金を払いすぐに店をでた。 「まいったなー、間に合うかな」 私はまた自転車をとばし霜月駅に向かった。 「パルルじゃん、なに急いでんだよ」 「勇太郎。ごめん、急いでるんだ」 「おい、ちょっと待てよ!」 私は思い切り不機嫌な顔をして勇太郎を睨んだ。 「じゃ、これいらないんだな?」 うっ!何であんたがそれ持ってんのよ! それは大井先輩に渡す、いや拾ってもらうはずのわたしの・・・ 「ごめん、返して。でもなんで勇太郎が持ってんの?」 「さっきコンビニ行ったろ?あそこでばーさんがお前の方指差して落としたって言ってたからさ。」 「勇太郎お願い、このことは絶対誰にも言わないで」 ニヤリとした勇太郎は先に行ってしまった。 ここで、今日の作戦決行も中止が決定的になった。 「次の電車すぐくるかな」 駅に着くと、電車が遅れていますのアナウンス。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加