后妃の悩み

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 が、しかし。翌日の昼時。  昼食を終えた響の耳に秌は口を寄せ、隅の下女に聞こえないようこそこそと昨夜将極から聞いた事を一片も隠さず告げた。  全て聞き終えた響は声を上げ驚く。 「ええ、マジで?」 「まじ?」 「いやその、本当ですか?」 「大いに有り得ます。どうでしょう? この際媛响様が手綱を取られてみては……」  響は耳まで真っ赤に染め、正面で慌てて手を振る。 「そんな事出来ないよ!……第一、オレも知らないし……」  現世に生きていた頃は性欲と呼べるものは無かった響。それも巫女であったが故なのか、とにかくそれを処理する行為も一切した記憶が無い。そんなこんなだから夜の知識は皆無。  かろうじて、子作りの作法と、同性同士でもそれに近い行為が可能らしいと言うぼやけた知識しか持ち得ていない。  すっかり八方塞がりになってしまった。  まさか響が陰間茶屋へ行くわけにもいかないし、煌隆を寄越すのは絶対に嫌だ。  知識が無くても出来るものだろうか…… 「あ、居る、居るよ! 多分知ってる奴!」 「まことですか? では早速乞いに行きましょう!」 「それが……」  今度は響が秌の耳に口を寄せる。 「……煌隆にはオレが話してみるから、秌さんには祠の方頼んで良いかな」 「分かりました、早速今夜から誰か向かわせましょう」  さて、夕時が鳴り響いて暫く。  風呂も済ませ遅めの夕食が終われば、響は定位置の煌隆の膝の上で茶を啜る。背中の煌隆は大分酒が進んでいるようで、上機嫌に口が弾んでいる。 「煌隆、今夜は随分機嫌が良いですね」 「ん? ああ、仕事がやっと片付いてな。明日からはしばしのんびり出来る」  言って煌隆は響の額を撫で、こめかみに唇を軽く寄せる。 「長い事お前に気を回す事が出来ず、すまなんだ」 「いいんです、少し淋しかったけど、秌さんが良くしてくれたから」  煌隆は一瞬瞼を伏せた響の膝を抱え、横向きに座らせる。額を撫でればそこに強めに唇を押し付け、頬を包んで親指で響の唇をなぞる。 「煌隆? 酔ってるの?」
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