后妃の悩み

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 熱を帯びた煌隆の瞳は穴が空く程に響の瞳を見詰め、人間離れした美しい顔が近づいたかと思えば唇を塞がれる。 「ん……」  僅かに離れるも、角度を変えすぐに唇を重ねる。そろりと歯を舌先でつつかれ、響は唇を重ねたまま口を開く。ゆっくりと口中を這い回る舌に応え、自身の舌も絡ませれば強く吸われ、音を立てて塞がれた口が解放される。 「ちょ、煌隆、待って」  しかし煌隆は再び唇を重ね、今度は激しく貪るように響の言葉を奪う。  響は段々と体から力が抜け、煌隆の襟元にしがみついて体を支える。 「ん、ふっ」  あまりに長く激しい口付けに、応える舌も疲れてしまい、煌隆に任せてしまえばいいように口中を舐め尽くされる。  次第に呼吸が辛くなり、響は僅かに開いた口の隙間から息を漏らす。  いつになく長い口付けに頭がぼんやりしていたが、煌隆の手が頬を離れ響の襟からするりと地肌を触ると頭は一気に覚醒する。 「ふっ、こ、りゅ、……って」  煌隆の手は止める間も無く侵入し、親指の腹で小さな突起を押し潰す。  やっとの事で唇が解放され、抗議に開くも耳を這った濡れた感触に、喉から出たのは甘い嬌声。 「ひゃう、やぁ、あ! ちょ……やだ、煌隆……あ、ん、やだ、こんなとこでっ……」 「……ちっ」  耳元で軽く舌を打った煌隆は、引き抜いた手で乱れた響の襟元を直し、元の体勢に戻してやった。  響は少し顔を赤らめ咳き込む将極と、腰に当たる固い感触に、何も言えず真っ赤になって俯くしかなかった。  二人の様子をちらちらと見ていた将極は、本当に煌隆はやり方が分からないのかと、疑問に思うのだった。  響が黙って俯いたままでいると、急に体が浮き目の前の首にしがみつく。気が付けば背と膝を支えられ、横抱きに抱えられている。  煌隆は驚く響の額に唇を落とし、優しく微笑む。 「……そろそろ寝ようか」  付き添いはいらないと将極に言い置いた煌隆は、寝室迄の長い距離を響を抱えたまま静かに歩いた。
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