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この物語は、山田カオスと奇妙な友人である秩序くんの、ろくでもないやりとりを描いた、いわゆる日常モノである。
※この物語に登場する人物、用語などはすべてフィクションです。
ある日の朝、男が泣いていた。
「ンッフッファアアアアアアンッハァッハッハァ~~ン」
そして、大声で泣きじゃくる男のそばには、もう一人男がいた。
「どうしたんだい秩序くん、まぁ、いつものことだけど・・・。」
泣いている男の名前は秩序くんと言うらしい。
秩序くんは泣きながら、号泣の訳を話し始めた。
「聞いてよカオス!STOP細胞の培養に失敗しちゃったんだよ!しかももう学会に発表しちゃったし、大法螺吹いて2000回実験に成功してるとも言っちゃって・・・。」
カオスと呼ばれた男は、苦い顔をしながら言った。
「さすがに盛りすぎだろ・・・そりゃ泣くしかないわ。」
秩序くんはどうにかしろと言わんばかりにカオスを見つめ、言った。
「もう実験に使う費用が無いし、モルモットにも逃げられちゃって・・・挙句にはお金借りまくっちゃって、ほら、書類が山積みだよ。これ全部処理しなきゃいけないんだよね・・・」
カオスは呆れて何も言わない。秩序くんはこう続けた。
「でももう半分は処理したんだ!すごいでしょ、このスピード。まるで腕が分身したみたいでしょ!?」
秩序くんは書類に手を加えながらコーヒーを飲み、エアコンのスイッチを入れた。カオスははっとしてこう言った。
「ちょっと待て。ちょっと作業やめてみて。」
秩序くんは首をかしげ、コーヒーをすすった後、手を止めた。
「やっぱりな」
カオスは納得したように頷いた。
秩序くんの腕は6本生えていた。
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