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それからお昼すぎまで、彼はたっぷり寝ていた。途中ひざまくらしたり、抱き付く形になったりと様々に寝相を変えて。 私は置いていくことも考えたが、可愛い寝相を見ていたら、どうでもよくなってしまった。 ときおり、彼は眼帯を抑えて苦しんでいた。そのたび私は彼の手を握った。  終業のチャイムがなると、彼がむくりと起きた。 「あ、起きたの?」 彼は大きく伸びをした。華奢な体がすらっと伸びた。 「うーん・・・。良く寝た。 あれ、君は?るいちゃんだっけ?なんでここに?」 「漆原君が寝ちゃって・・・。なんか可愛くって、授業さぼって漆原君のまくらになっちゃった。」 私はクスリとわらった。 「わー!ほんとに?ごめんね・・・。全然気が付かなかった・・・。てか君、優等生なのに、こんなことしていいの?」 意外にも漆原君は私を知っていたようだ。 「うん・・・。なんか寝顔みたらどうでもよくなっちゃった。」 「朝の笑顔より、素敵だね。こっちの笑顔が本当のゆいちゃんてことか。」 彼はにっこりと笑う。 私は少し顔が赤くなった。こんなこと言われるのは、初めてだ。同時に私の中身を見られたみたいで、少し怖かった・・・。  少し、間が空いて、漆原君が口を開いた。 「あ、それと漆原君ってなんか呼びにくいだろうし、漆でいいよ。」 「う・・・るし・・・君。」 「ハハハ!それでいいよ。なんか新鮮だし。」 漆くん・・・。なんか惹きつけられる不思議な人。でもなんかペットみたい。人懐っこいというか・・・。 次の日、漆君は学校に来なかった。何か忙しいのだろうか。それとも体調が悪い・・・?あの右目かな・・・。 「ねー。るいー。ねぇきいてる?」 「なんかるいぼーっとしてる。めずらしー。」    今日は男の子と出会った。  人懐っこい子ですごくかわいかった  また・・・。あえるかな・・・。  もう少しあの子のことを知りたい。
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