第1章

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「るいちゃんか・・・。教えてくれてありがと。久々に学校きてつかれちゃってね。」 彼は少し笑顔を作った。なんだかとても落ち着く声だった。男の子にしては声が高く、細かった。 「う、うぅん。遅刻しないようにね・・・。」 私も移動しようと方向転換した。回れ右。 「うん・・・。おやすみなさい。」 まるで子供が母親にいうように穏やかな口調で彼は言った。 私が振り向くと。 いつの間にか床にゴロンとなって寝ている漆原君がいた。 え、ええええー!寝るのはやくない!?しかも、ダイレクトに床に!? さぼってしまった・・・。私は人生初の、授業に出ないという暴挙に出てしまった。  文武両道という両親の教えに素直にそだった私は、成績も上位をキープし、陸上部では、春の大会で県内で二位の成績を残した。  最後の夏のインターハイ、目指せ全国!という感じだ。  そうやって努力するのも、将来人助けをする仕事に就きたいから。そのため恋愛をまったくしなかった。告白もされたことがない。  灰色の高校生活・・・だ。しかし、今日はなぜか青春の一ページを刻んでしまった。 屋上で、漆原くんのひざまくらをしている光景。なぜこうなったかというと・・・。
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