第二章 『だまし討ち』

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ホームズさんはカウンターテーブルに手をついて、ゆらりと立ち上がる。 その顔には笑みがなくて、背筋が寒くなるほどの迫力があった。 「そんな怖い顔せんといて。今日は新年の挨拶かたがた、鑑定をお願いに来てん」 ニコリと微笑んで帽子を脱ぐ。 彼は相変わらず、その頭は坊主のまま、左手には風呂敷包みを手にしていた。 一触即発の雰囲気の中、円生はカウンター前のソファーに腰を下ろした。 「これを識(み)てほしいんやけど」 カウンターの上に風呂敷をスッと置いた。
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