sweet

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「なんだよ、その無駄に『接待』を強調したバカバカしい会話は。」 「なんなんだろうね~。」 コーヒー一杯を飲む時間しか与えられず、あの人はすぐに『接待』と名のつく『デート』へと向かっていった。 店の前で別れたということは、どこかに車を停めているのを私に見られたくないのだろうと簡単に想像できた。 けれどそれに対してどうこう言うこともせず、すんなりと家に帰ってきた。 「俺はお前に聞いてんだよ。そんな見え見えの嘘に何も言えない関係なんて、本当にロクなもんじゃねぇって前から言ってんだろ。」 「・・・わかってるもん。」 「わかってねぇから毎回毎回都合のいいように使われるんだろーが。そんなしょーもねー男にっ!」 まるで自分の事のように腹を立て、テーブルに飲みかけの缶ビールを手荒く戻し、ソファーの背凭れにふんぞり返るヤツは私の幼馴染。 三年前に一人暮らしをする際、女子力のない私を一人にさせたら半月で野垂れ死ぬと断言し、あろう事かアパートの隣に越してきたのだ。 「で。そのグシャった箱が迷子チョコ?」 カバンから転がっていた、見事に潰れてしまったチョコレートを彼は眉をひそめて見る。 「なによ、そのフザけたネーミングは。」 迷子チョコなんて…痛々しくて聞いてられない。
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