第1章

2/3

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
『お母さんっ…やめて…』 「うるさいうるさい!!お前さえいなければ…」 アル中の母に家出した兄。父親は私が生まれた頃にはすでに無くなっていた。 助けてくれる友達なんているはずもなく、私は毎日を綱渡りの状態で暮らしていた。 やっと眠りについた母から離れ自室に戻った。 ボロアパートの小さな窓から月明かりがうっすら差し込んでいる。 そのわずかな光すら目障りに思えて、布団に潜り込んだ。 …月明かりは私の傷を照らすから気にくわない。 『明日こそ、月がなくなりますように…』 これは毎晩思っている。 電灯なんて、私がつけなければいいだけの話し。でも月の光はそういうわけにもいかない。 なんて身勝手な話なんだ、とは思うけどやっぱりそう思わずにはいられない。 『…月がなくなりますように』 もう一度呟いて、私は眠りに落ちた。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加