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『お母さんっ…やめて…』
「うるさいうるさい!!お前さえいなければ…」
アル中の母に家出した兄。父親は私が生まれた頃にはすでに無くなっていた。
助けてくれる友達なんているはずもなく、私は毎日を綱渡りの状態で暮らしていた。
やっと眠りについた母から離れ自室に戻った。
ボロアパートの小さな窓から月明かりがうっすら差し込んでいる。
そのわずかな光すら目障りに思えて、布団に潜り込んだ。
…月明かりは私の傷を照らすから気にくわない。
『明日こそ、月がなくなりますように…』
これは毎晩思っている。
電灯なんて、私がつけなければいいだけの話し。でも月の光はそういうわけにもいかない。
なんて身勝手な話なんだ、とは思うけどやっぱりそう思わずにはいられない。
『…月がなくなりますように』
もう一度呟いて、私は眠りに落ちた。
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