萌ゆるオタク

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  「ふむ、そうだな……食ってやらんことも無い。というわけで、今日は恋愛談義でもしようじゃないか陸よ」  頬杖を突きながら上から目線で言ってやるも、日常茶飯事なので陸は別段気にする様子も無く、はいはいと俺を適当にあしらう。少しは怒ってみたりしてはくれないのか、面白くない。 「つーか恋愛談義って。お前がそんなこと話したいだなんて驚きだ」  陸は弁当箱を開け、箸でおかずを突きながら訝しげに問うてくる。それにしても、失礼なやつだ。俺はいつだって恋愛の世界に居るというのに。 「まーまー、いいじゃないか。あれよ、あれだ、恋愛対象は年下か、年上か。どっちよ?」  俺は大正義日の丸弁当の核である梅干を口の中に放り込むと、モゴモゴと唇を動かしては陸の回答を待つ。 「そうだね、俺は±2歳なら恋愛対象かな。年上年下にこだわりはないかな」  それを聞くなり、俺は大きな溜め息をわざとらしく漏らしてやる。陸は何がおかしいんだと言わんばかりに、ムッとした表情を浮かべると俺の弁当から一つおかずを掻っ攫っていく。ばっかやろう、互いの弁当を突き合ってキャッキャしていいのは萌え萌えな二次元美少女とだけって決まってるだろうが。むさ苦しい美の文字も無いフツメン野郎が何をやっているんだか。とはいえまぁ、今は些末な問題だ。 「常識人ぶっちゃってよー、全く。これだからフツメンは……」 「んじゃあ、お前はどうなんだよ?」  やれやれと首を横に振り、俺は俺の正義を目の前の凡愚に叩き込んでやらんとして不敵な笑みを浮かべる。 「ふ、年下だ。どう考えても小っちゃい子に決まってる。幼い容姿ほど美しく可愛いものはないだろうが。±2だぁ? ノンノン、マイナスあるのみだ。ちなみに、俺は金髪キャラが良いです」  語り終えると、陸は一瞬汚物を見るような目を向け固まったが、何かを悟ったのか、再び稼働を始める。 「って、あんだよ勇人。また二次元の話かよ。最初に言えや」
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