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陸は陸で俺の身を案じているのだろう。その厚意に応えてやらんとして、残り少ない休み時間を屋上にでも行って孤独を堪能してくるか。
「ん、そうかそうだな。先生には早退したと言っておいてくれたまえ」
「いや、帰るなよ?」
冗談だ冗談と、一言添えひらひらと手を振りつつ席を立ち、教室を去っていく。
廊下にはキンキンと耳の痛い声ではしゃぐ女子たちや、奇声を上げては走り回る野郎共で支配されていた。余計、具合が悪くなりそうである。
――カス
それでも、はっきりとあの声は俺の耳に届いていた。
つか、カスってなんだよ。俺を馬鹿にしているのか。この高貴なるハイパーイケメンを貶すとは万死に値する。しかしまぁ、俺好みの萌えキュンボイスなので美少女だったら許してやらんことも無い。といわけで、姿を見せて欲しいのだが、声の発信源が先程から俺の耳元であるからにして、所在を推察するのは難しい。もしかして何かに憑りつかれたのか。
そうやって、腕を組み思考を重ねつつ廊下を往く姿は、俺のイケメンに拍車を掛けていたようで、見知らぬ女子から歓喜の声がちらほらとあの声と共に聞こえてくる。やっぱ、そこらの女子とは比にならない程に萌えボイスだな。
「あの人、超カッコいいね」
リアルの女子なんかクソ食らえと吐き捨てているような俺だが、まぁ、悪い気はしない。もっと言ってもええよ。
「でも、あの人ロリコンでオタクらしいよ?」
「へ、へぇ……」
あー、やっぱりクソだわ。掌クルクルのお前らなんてやっぱり二次元に遠く及ばないわ。蔑んだ目で見てんじゃねぇよ。帰ったら嫁に癒してもらおう。
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