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いつもと同じ、5時54分の電車にのる。
気分によって早くホームにつく。
今日は30分にホームについてしまった。
待合室は暖房が効いていて、とても居心地が良い。
彼女と別れて7年。
すっかりただの大人だ。
というか社会人か。
体調がよくなり、働き始めて半年たった。
昔から繊細で外ヅラがいい僕は悩みをたくさん抱えていた。
それは膨れ上がって、3年前に爆発した。
自殺未遂を繰り返した。
しかし、死ねなかった。
「あのとき死んでたらな…。」
駅のホームの待合室でポツリと呟いた。
ふと涙が頬を通り過ぎた。
僕はたまに昔を思い出して涙が出る。
悲しいわけではないのだけど、少し複雑な涙だ。
待合室の自動ドアが開いた。
ふと涙がたまった顔で見る。
そこには見るからに派手な女性がいた。
アパレル店員のような。
はたまた美容師のような外見だ。
彼女はポツリといった。
「ユウト…?」
これは僕の名前だ。
カタギリユウト。
僕は濡れた瞳で彼女を見た。
「誰…?」
寝起きのような低くかすれた声で返事をした。
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