第1章

2/4
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
いつもと同じ、5時54分の電車にのる。 気分によって早くホームにつく。 今日は30分にホームについてしまった。 待合室は暖房が効いていて、とても居心地が良い。 彼女と別れて7年。 すっかりただの大人だ。 というか社会人か。 体調がよくなり、働き始めて半年たった。 昔から繊細で外ヅラがいい僕は悩みをたくさん抱えていた。 それは膨れ上がって、3年前に爆発した。 自殺未遂を繰り返した。 しかし、死ねなかった。 「あのとき死んでたらな…。」 駅のホームの待合室でポツリと呟いた。 ふと涙が頬を通り過ぎた。 僕はたまに昔を思い出して涙が出る。 悲しいわけではないのだけど、少し複雑な涙だ。 待合室の自動ドアが開いた。 ふと涙がたまった顔で見る。 そこには見るからに派手な女性がいた。 アパレル店員のような。 はたまた美容師のような外見だ。 彼女はポツリといった。 「ユウト…?」 これは僕の名前だ。 カタギリユウト。 僕は濡れた瞳で彼女を見た。 「誰…?」 寝起きのような低くかすれた声で返事をした。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!