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「玉袋先生、今年も出場とか…お手柔らかに頼みますよ」
技巧担当教師の三斉流(みさいる)先生が、今日も重厚なレザーのレスリングウエアに身を包み、新妻仕様のフリルのエプロンで隠れた厚い胸板と股間を威嚇するように前へと突き出した。
「三斉流先生も参加されるでおじゃるか?麿などまだまだでおじゃる故、こちらこそお手柔らかにお願い致しまする」
「昨年の優勝作品、高野豆腐のスカンク・エイプは過去最高でしたな。毛並みと言い、あるはずのない臭いまで表現して見せた…今年はお互いあれを上回る傑作を作らないと」
秋の運動會も終わり、学校内の運動會熱が冷めやらぬ絆愛高等学校では、もうひとつ学校行事が間もなく始まろうとしている。
その名も…
“ 絆愛高等学校彫刻選手権大会 ”
毎年数々の傑作が産み出される中、麿は運良く四連覇中。
でも、驕る平家は久しからず…
いつも一緒に戦う選手全員の胸を借りる気持ちで挑ま騎士(Knight)。
やはり最強敵は三斉流先生でおじゃる。
先生とは絆愛史に残る名勝負の数々を繰り広げている。
去年は偶然UMA対決になってしまったでおじゃるが、先生の作られたアイスキャンディの牛に噛みつくチュパカプラを見た瞬間、『ああ…麿の負けでおじゃる』と腹をくくったでおじゃる。
なのに、待っている間に、筋肉の神様の悪戯か、気の毒にもどんどん溶けてしまわれたのでおじゃる…
麿など、材料と運の差で辛うじて勝てただけ。
今年はあんな辛勝ではなく、きっちりシマウマ以上に白黒をつけたいでおじゃる。
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