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「イナリ先生?」
「あ…ああ、どこかへ向かっていたところを呼び止めてすまなかったでおじゃる。かたじけなかったでおじゃる」
「平気ネ。相撲部ニwatching行クダケ。アノ丸ミノアルラインニ心躍ラサレマス。柔カイ肉ノ中ニモ筋肉質ナ盛リ上ガリ…アレハマサニartノworld…」
赤く染まる頬を両手で包み、体を捩るアソコスキー先生に目を奪われながらも…
麿にはまだ到達していない未知の世界でおじゃるから悔しい。
アソコスキー先生好みにはなりたいが、目指す先がうまく定まらないでおじゃる。
「デハマタネ、イナリ先生♪」
ウインクと投げキスを麿に残し、アソコスキー先生は“ガ~コ、ガ~コ…”と愛車の車輪を響かせ行ってしまわれた。
「麿…自分に自信がなくなってきたでおじゃる。どうすればいいでおじゃるか…」
ポケットからハンカチを取り出し、先程の塊を拾う。
「はあ…せめて押し鼻(くそ)にするでおじゃる…今の思い出に…」
ダクダクと溜まりそうな涙をグッと堪え、麿はハンカチを見つめていると、
「玉袋先生、どうしました?」
不意に背後から麿を呼ぶ声…
振り返ると、そこにいたのは件の一之瀬縮雲(いちのせ ちぢれぐも)先生ナリ。
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