第三章

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 一華が消えて既に三日が経過していた。  あの後、一華を心配する姫希を家まで送り、今日まで零は妹を捜索したが一向にその足取りを掴めないでいた。  誰がやったかは解る。  だが、どこにいるかが分からない。  その目的も、意図も。  斜交時雨の目的は御堂零を苦しめること。  だがそれならば一華の死体を晒せばそれで済むではないか。  それだけで御堂零はくずおれる。  それがまだ実行されていない意図はなんだ?  ――分からない。  何度同じ思考の答えに行き着いたことだろう。  零は学園の屋上のベンチで一人首を振る。  一華が失踪直後、四式波瑠綺に連絡を入れたが彼女も足取りを追えないと言っていた。  おそらく単独犯ではない。  組織的な動きでなければ、一人の人間の行方を完全にくらます事など不可能だ、とも言っていた。 『何か情報が入り次第、すぐに貴様に連絡を入れる』    そう言って彼女は通話を断った。  斜交時雨もその行方をくらませていた。  元々学校をさぼりがちだった彼が今さら行方不明になったところでも、周囲の関心は『ああ、またか』程度の認識だった。  飼い犬がその内もといた場所に帰ってくるように、斜交もそのうち学園に戻ってくるだろうという周囲の反応は、正直零を苛立たせた。
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