第三章

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 だから零は考える。  相手の目的を。  その奥底に隠された真相を、考える。 「……といっても、納得のいく答えが出てくるわけじゃないか……」    グルグルと同じ思考のループに嵌る。  まるっきり悪循環だ。  今宵も当てもなく一華の捜索をするしかないのか。  溜息とともにベンチから立つと不意に屋上の扉が開いた。 「あ……、御堂、くん」    十羽乃姫希が扉から顔を出す。  零を心配して捜していたようだ。  彼女の表情は不安から安堵と切り替わり、零の傍へと走ってきた。 「一華ちゃんは、まだ……?」 「……うん。一向に足取りが掴めない。相当にレベルが高いクラスの奴らが関わってきてると思う」    魔法にも複数の種類がある。  攻撃、補助、回復の系統があり、やはりそれぞれに合った系統を伸ばせば、今回のように行方を掴めなくする事も可能だ。  気配の遮断や、視神経の撹乱、脳の認識に誤差を与える魔法を使われれば、一華の行方を掴むのは一層難しくなる。 「わた、私も手伝うから、元気出して……!」 「……え?」 「御堂君に、教えてもらった、魔法で、私も一華ちゃん、捜すのを手伝う」    ガッツポーズをする姫希を見て、零は苦笑する。
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