0人が本棚に入れています
本棚に追加
だから零は考える。
相手の目的を。
その奥底に隠された真相を、考える。
「……といっても、納得のいく答えが出てくるわけじゃないか……」
グルグルと同じ思考のループに嵌る。
まるっきり悪循環だ。
今宵も当てもなく一華の捜索をするしかないのか。
溜息とともにベンチから立つと不意に屋上の扉が開いた。
「あ……、御堂、くん」
十羽乃姫希が扉から顔を出す。
零を心配して捜していたようだ。
彼女の表情は不安から安堵と切り替わり、零の傍へと走ってきた。
「一華ちゃんは、まだ……?」
「……うん。一向に足取りが掴めない。相当にレベルが高いクラスの奴らが関わってきてると思う」
魔法にも複数の種類がある。
攻撃、補助、回復の系統があり、やはりそれぞれに合った系統を伸ばせば、今回のように行方を掴めなくする事も可能だ。
気配の遮断や、視神経の撹乱、脳の認識に誤差を与える魔法を使われれば、一華の行方を掴むのは一層難しくなる。
「わた、私も手伝うから、元気出して……!」
「……え?」
「御堂君に、教えてもらった、魔法で、私も一華ちゃん、捜すのを手伝う」
ガッツポーズをする姫希を見て、零は苦笑する。
最初のコメントを投稿しよう!