第三章

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 そう。この三日間何もしてこなかったわけじゃない。  零は姫希が暁の風に狙われている可能性も無視できず、護衛をする意味も含めて彼女と行動をともにしていた(もっとも一華の捜索をする際には外れてもらっているが)。  姫希自身、自分の力に振り回されないために魔法をコントロールしたい、と申し出があり零は魔法の基礎を彼女に教えてある。  教えて初日にして零は彼女の魔法修得速度に目を瞠った。  体内にある魔力の蓄積量は零を大幅に上回っているので、魔法使いの素質は十分だが……。 (まさかここまでだとは、正直思わなかった……)    レプリカという劣化カルテットクラスの彼女だが、彼女が使用する魔法はカルテットと何ら遜色がない。  現在の姫希は即戦力として十二分に通用するだろう。  だけど……。  その時また屋上の扉が開き、「あぁ、やっと見つけた」と声がかかった。  零と姫希が扉の方を見ると、一人の女子高生が満面の笑みを携えていた。
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