〈1〉ベッドの上で感じさせて

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 「おかえり」  「ああ、なんだ。もう寝ていたものとばかり思っていた」  腕を回す肩口から私の方へと振り向いたジャクシルは、甘く微笑むと、サイドテーブルから取り上げたグラスを一口含んだ。  「忙しいのね」  「初めだけだ。直に従僕らも私の意向を理解するようになるだろう。それからはそれぞれの外交担当員に一任出来るようになる」  そう言うとジャクシルは一気にワインを煽り、グラスをテーブルに落ち着けた。  わたしは回していた手を引っ込めようとした。  しかしすぐに彼は私の右手首を捕まえると、ぐいっと強引に引き寄せて、  「ひゃあっ!」  捻るように半回転したわたしの身体は、彼の逞しい胸の中に飛び込んでいた。  「捕まえたぞ、チル」  嬉しそうに頬を染めて甘く微笑むジャクシルの手が、わたしの膝の下に腕を差し込まれ、次の瞬間、わたしは彼に抱き上げられていた。  「お姫様」  頬で弾ける甘い口づけにとろけそうになって、ふるふると頭を振る。  「待っていてくれたのだな」  透けたネグリジェの下は、何も着けていない。遊女時代はそうして待っていたけれど、それでも最近はきちんと寝巻きを羽織っていた。  では、なぜ今日はこんなあられもない格好をしていたのかというと……  「甘い香りがする……誘い込まれそうだ…」  フリルがふんだんにあしらわれたシースルー素材のネグリジェの裾を荒々しく捲った彼は、わたしの脚のあいだをねっとりと眺め、口角を上げた。
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