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「ん~?ゆきちゃんの荷物はぜぇ~んぶせっちゃんに頼んで乗せてあるから大丈夫だよ♪」 シャラン-----カチャン… 「ん?ドアの鍵が閉まったぞ?」 音のする方に身体を向けると、 「お忘れ物です。由貴様。」 流石としか言い様がない無駄の無い身のこなしで、自室にあったはずの財布やらが入ったカバンを差し出した。 ご丁寧にさっき玄関のドアを閉めた鍵はカバン内に入れてある。 「有難う御座います。瀬戸さん。」 「留守の間、ハウスキーパーを頼んでおきましたのでご安心ください。」 あぁ、助かる。父さんは家事が苦手だから、俺は家を空けることが心配だったんだ。 大事な思い出が詰まった家がホコリだらけになってしまうのが。 そんな些細な事も、全てカバーしてくれる瀬戸さんを見習って薫も少しは… クイクイ。と服の裾を引かれそちらを向くと、 何故か泣きそうな薫が、いやもう既に溢れそうな涙を我慢しようと、下唇を噛みながら 「ゆきちゃん?ずっと怖い顔してるけど、僕と一緒の部屋嫌だった?ついて行く事迷惑だった?うざったくなっちゃった?」 ウルウルと、女の子にされたら昼間だろうがなんだろうが、夜の時間になりそうな顔で言ってきたので、 「バカだなぁ…んなこと微塵も思ってないっつーの。勉強も家も心配事がなくなったから気にすんな!そんなことより、早くこのバス出しちまおうぜ?誰も通れないから。」 そう伝えながら、ショボくれてる薫の頭をポンポンと撫でてやる。
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