不思議な魅力をもつ人

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「いいえ、公務員なら何でもいいなら、憧れていた自衛隊に入ろうと思って自衛隊の門を叩きました。」 「じ、自衛隊ですか!?」 確かに公務員だけど、ずいぶん思い切ったな…… 「はい。でも健康上の問題であえなく入隊を断念しました。」 「…そうですか……。そして学校の先生への道を選んだんですね?」 「いいえ……。自暴自棄になった私は、いっそのこと俗世間を捨てて仏門に入ろうと思い、尼になることを決意しました。」 「こ、今度は尼ですか…?」 難解な人だ…… 「私を救えるのは仏の道しかないと思ったので、お釈迦様を敬いながら悟りでも開けたらと思いまして…」 突然、手を合掌して拝むあかり。 仏様のような穏やかな顔をして尼になりきっている。 「頭を剃髪するのもパンチがきいてて清々しいでしょう?…それに何よりも袈裟が格好いい……」 あかりは顔をポッと赤くした。 「袈裟ですか…」 以外とミーハーで思い込みが激しい人なんだな…… 「でも、僧侶になるには健康診断書が必要みたいでこれもあえなく断念……」 …むしろそれでよかった気がするけど…そう思うのは私だけなのかな……? 「健康じゃないだけで自分のしたいことが制限されるのって辛いですよね……」 「…………」 思いがけず真面目にそう呟くあかりの言葉に私は何も言えずに黙った。 「まあ、そんなこともあって、私の心はうちひしがれました。」 「そんなどん底にいたある日、私は熱血な高校教師が主役の学園ドラマのDVDに出会いました。」 「そうして私の夢はそのドラマの主人公のように、夕日に向かって生徒たちと走るような教師になることになったのです。めでたし、めでたし。」 ……何だろう……かなり変わってるのに、この人にすごく引かれている自分がいる。 知れば知るほど、あかりは面白い。 もっとこの人を知りたい。 「教頭先生が心配するのでもう行きましょうか……体育館ですよね?」 「はい…」 彼女のことをもっと知りたい…… どんな音楽が好きなのか、何を考えて生きているのか…好きな食べ物は何なのか…… 女性に対してこんな気持ちになったのは生まれて初めてだった。 この日を境に、私は自分からあかりに話しかけるようになった。
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