君に恋をする

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あかりと出逢って話をするようになってから、私の毎日は実に楽しいものになった。 この前、あかりが歩きながら歌っていた鼻歌が、昔、放送されていた有名な時代劇のテーマソングだったのにも笑ってしまった。 その前は、職員会議中に居眠りをしていて教頭先生に注意され、「教頭先生、今のは長いまばたきです!」とにこっと笑って誤魔化していた。 とにかく、あかりを見ていると私の心の中が暖かくなり安らいだ。 ―そして12月の忘年会― 「さあ、今日は無礼講だ!みんなたくさん飲んでくれ!!」 教頭先生がそう言い、忘年会が始まると、目の前に座っている体育教師の水野先生があかりの隣にいる私に話しかけてくる。 「塩谷先生と一之宮先生って、最近すごく仲良くないですかぁ?この前、体育教諭のみんなでそう言ってたんですよぉ。」 「…え……そう…見えますか?」 周りにそう思われていたなんて知らなかった…… にしても、水野先生ずいぶん酔っぱらってるな……。女性なのに帰り大丈夫かな、心配だ… 水野先生はビールを片手に、今度は大声でみんなに聞こえるようにあかりにも聞く。 「一之宮先生は塩谷先生と仲良しなんですよねぇ!」 一瞬で周りが静まりかえる。 「仲良しですよ。」 あかりは何のためらいもなく笑顔で答える。 「塩谷先生は私に優しく接してくれますし、本当にいい人です。いつも仲良くさせてもらってます。でも、それが何か?」 あかりの目が急に真面目なものに変わる。 「…っ、一之宮先生はいいですよねぇ。そんなに綺麗な容姿してて、塩谷先生にも優しくしてもらえて、その容姿で得することばかりじゃないですかぁ?」 あかりは目を伏せると、飲んでいたアイスティーをテーブルの上に置く。 「…私、そんなに綺麗に見えますか?」 水野先生は、弱っている子犬をいじめるように続ける。 「綺麗ですよぉ。私はこんな綺麗な人、見たことありません!こんな綺麗な顔に生まれたんだからさぞかし幸せなんでしょうねぇ。本当は嬉しいんでしょう?」 「嬉しくないです。」 あかりは伏せていた目を水野先生の方に真っ直ぐ向けると、はっきりとそう答えた。
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