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あかりとまた目が合う。
すると、あかりは私から目を逸らした。
「…………」
今まで考えもしなかったけど、一之宮家の大事な一人娘なら婚約者の一人くらいいてもおかしくはない
私は何を期待していたんだろう……
あかりは私にとっては高嶺の花だったのに……
私はあかりが自分のものになるとでも思っていたのか…?
私が頭の中で色々なことを考えていると、あかりが立ち上がってどこかに行こうとする。
「…一之宮先生、どこへ?」
「…日向ぼっこです。次は授業がないので…」
「私もご一緒しても?」
私がそう聞くと、あかりはコクンと頷く。
★★★★★
中庭に行ってベンチに座ると、あかりはいつものように目を細めながら日光を浴び始める。
「……一之宮先生、婚約者がいたんですね。」
あかりは空を見上げたまま答える。
「さっきの会話、聞こえてましたか……」
「はい…」
「…………」
「…………」
少しの沈黙が2人を包む。
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