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「一之宮家は元は華族ですが今はかなり落ちぶれて、お祖父様が貸している土地の収入だけで何とか家を支えている状態。」
「もしもそのお祖父様が亡くなりでもしたら、相続税を払えず、その土地や屋敷も売らなければいけなくなるでしょう。」
「その上、息子であるあかりさんの父親はボンボン育ちで職に就かず、一之宮家のお金を食い散らかしているだけの人物なんですよ。」
「そこに雨宮グループの援助。あの家に断る理由なんかないでしょう?」
雨宮さんはくすくすと笑いながら話す。
「あかりさんを手に入れることで得るものは多いです。それにあの美しさ。私の横に置いておくにはあかりさんはちょうどいいアクセサリーになります。」
…アクセサリー…?
この男はあかりをそんな風に思っているのか……
こんな男と一緒になってあかりが幸せなれるはずがない……
ピロロロロ!!
突然、雨宮さんの電話が鳴る。
「もしもし、ああ、加奈子?…これから…?…いいよ、会おう。」
女の…人…?
「ああ、今すぐ迎えに行く。じゃあ…」
電話を切ると、雨宮さんは困ったように笑う。
「用事が出来ました。今日はせっかくあかりさんと食事をしようと思ってたのに…」
「でもまあ、彼女、仕事まだ終わらないみたいだし今日は他の女で我慢しておきます。では、失礼します。」
雨宮さんは颯爽と車に乗ると、そのまま学校を後にした。
「……っつ…」
あんな男にあかりが奪われると思うと腹が立ってしかたがなかった。
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