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塩谷先生と付き合うようになってから、私は毎日が幸せだった。
学校の仕事が終わると、毎日のように塩谷先生と会って、塩谷先生の家でおしゃべりをしたりして過ごした。
塩谷先生は、大学時代に両親を亡くしたようで、立派な庭付きの一軒家で一人暮らしをしていた。
「塩谷先生の料理、美味しいです!ごめんなさい、私が作ると下手で……」
「いいえ、こういうのは得意な人が作ればいいことですから。」
「私、昔、友達に料理を作ったときに『不味い以前に料理のセンスがない』って言われて……あまり料理に自信がないんです。」
「確かに、前、あかりに作ってもらった豚肉のしょうが焼きは独創的な味だったね!」
「ひどい…!」
私がそう言うと、塩谷先生はくすくすと笑う。
こういう時、すごく幸せを感じる。
「…あかり、そろそろ2人でいるときくらい、その【塩谷先生】っていう呼び方やめてくれないかな。私のこと名前で読んでほしい。」
「えっ…?」
「呼んでみて…私の名前」
「…け、圭介さん……」
私は顔を赤く染めながら、塩谷先生の名前を呼んだ。
塩谷先生は少し黙ると、真面目な顔で私に言う。
「…あかりとキスしたい…駄目かな…?」
「…………」
私は首を横に振った。
塩谷先生は、私に近づいて私の顎に手を添えると、私に優しくキスをした。
「んっ…」
一度唇を離すと、私の瞳をじっと見つめる。
「愛してるよ、あかり……」
その言葉を聞いた私の目から涙が溢れる。
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