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「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花、って言われるほどの美人で、政財界では名を知らない者はいなっていう一之宮家の一人娘なんだってさ。」
「もとは華族らしいぞ。」
「それは楽しみだね…。」
私のその返事に中村は一瞬黙る。
「お前、何でそんなに女に興味ねえの?結構モテるのに…。大学の頃からそうだったよな?まさか男が好きだとか……。」
不安げに聞いてくる中村。
何を言い出すかと思ったら……。
「違うよ。私には女性はみんな同じに見えるんだ。私から見たら周りの女性はさほど変わりはない。みんなじゃがいも…みたいな……。」
「これを言ったら女性に失礼になってしまうけど。昔からそう、私が惹き付けられるような女性を見たことは一度もない……男としてはどうかと思うけどね。」
中村はテーブルに肘をついて言う。
「…見つかるといいな。お前が夢中になれるくらい特別な女……。」
それは難しいと思うけど…
「そうだね。」
「なあ、だったら、もしかしてお前ってまだ女知らぬえの?」
急に中村がニヤついて聞いてくる。
「ああ、知らない。」
私は流すように返事をする。
「そこまでハッキリと断言されると逆に清々しいわ!!お前、最高!!」
中村は楽しそうにケラケラと笑った。
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