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4月1日、この日が私と後の私の妻になる、あかりとの初めての出逢いの日になった。
教頭先生に連れられて、中村とあかりが職員室に入ってくる。
あかりが下を向いていた顔をあげると、職員室に中の教師がざわついた。
「…………。」
確かに噂どおりの…いや、それ以上の美人だ……。
でも、何の苦労もなしに育った純粋培養のお嬢様という感じだな。
私とは違う世界の人間だ。
「……っつ!!」
痛っ!!
私がそう思っていると、突然激しい頭痛に襲われた。
『私に好きな人はいなかったけど大事な子はいたんだよ。君だよ……ちゃん。』
白い着物を着て髪を横に流して縛っている私に抱きついている高校生くらいの女の子……
山吹色の着物を着ていて…顔は……
ビクッ!!
はっ……何だ?今のフラッシュバックのような映像は…
私は再びあかりの方に目を向けると、その目を見開いた。
……似てる……
彼女の方が大人っぽい顔をしているけど、さっき頭の中に出てきた女の子に瓜二つだ……
私は我に返るように頭を振った。
中村が騒ぐから、考えすぎて変なものが見えたのかもしれない…
思い込みだけでいくらでも、脳内で人の思い出も変えられたりできるんだから……。
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