運命の出逢い

7/9
前へ
/44ページ
次へ
「よろしくな、塩谷先生!」 「ああ、よろしく、中村先生。」 中村は自分の斜め前にいるあかりを見て声をかける。 「よろしくお願いします、一之宮先生!」 あかりは机の整理をしていた手を止めると、中村に挨拶を返す。 「…よろしくお願いします。」 ……綺麗な真っ黒な瞳…… そう思っていると、その瞳が私の方に向けられた。 「…塩谷先生…でしたよね。よろしくお願いします。」 あかりは微笑んで私に挨拶をしてくる。 花がほころぶような綺麗な笑顔…… その笑顔に、周りの教師はみんな見とれていた。 そのあと、全校集会での学生への挨拶等を済ませると、あかりはあっという間に学校中のマドンナになった。 あかりは女教師のやっかみを受けるどころか、日を重ねるごとに、男だけではなく女生徒と女教師の憧れの的になっていた。 ただ、学生はよく彼女に話しかけてはいたけれど、教師の私たちはあかりにあまり話しかけられずにいた。 物腰の柔らかさ、所作や立ち振舞い、すべてにおいて美しくて…あかりは私たち大人にとっては高嶺の花すぎたのだ。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

258人が本棚に入れています
本棚に追加