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「よろしくな、塩谷先生!」
「ああ、よろしく、中村先生。」
中村は自分の斜め前にいるあかりを見て声をかける。
「よろしくお願いします、一之宮先生!」
あかりは机の整理をしていた手を止めると、中村に挨拶を返す。
「…よろしくお願いします。」
……綺麗な真っ黒な瞳……
そう思っていると、その瞳が私の方に向けられた。
「…塩谷先生…でしたよね。よろしくお願いします。」
あかりは微笑んで私に挨拶をしてくる。
花がほころぶような綺麗な笑顔……
その笑顔に、周りの教師はみんな見とれていた。
そのあと、全校集会での学生への挨拶等を済ませると、あかりはあっという間に学校中のマドンナになった。
あかりは女教師のやっかみを受けるどころか、日を重ねるごとに、男だけではなく女生徒と女教師の憧れの的になっていた。
ただ、学生はよく彼女に話しかけてはいたけれど、教師の私たちはあかりにあまり話しかけられずにいた。
物腰の柔らかさ、所作や立ち振舞い、すべてにおいて美しくて…あかりは私たち大人にとっては高嶺の花すぎたのだ。
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