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俺が戸惑っている間に文香は涙を拭って呟く
「心が痛いよ…健斗」
「心が痛い…ね」
心が痛いと言われても俺にはその痛みがどれくらいのものかわからない。
もちろん、俺だってフられたことは何度もあるから痛みがあるのはわかる。
けど、お前が感じている痛みはわからない。
同じ人間だけど、同じ人間じゃないから。
人間は経験を積み重ねて個になる、近くで生きてきたけどまったく同じ経験をした訳じゃない。
他人の感じている痛みが自分の感じている痛みと同じものなのかも実際わからないんだ。
「お前がどれだけの痛みをおってるのかはわからない。
俺はお前じゃないから。
けど、お前が辛そうにしてるのみると俺も心が痛い。
一緒に辛い思いしてやるからさ、少しでも立ち直ろ?」
精一杯の言葉をつづる。
こんなこっぱずかしい言葉言いたくないんだけど…
早くこいつが立ち直って欲しいのは確かなんだよ。
「健斗の痛みなんて知るかよ…」
弱弱しい言葉を口に出す。
しかし、文香はいきなり立ち上がった。
「よし!健斗のこっぱずかしい言葉も聞けたし私も立ち直りますか。
いつまでもグジグジしてたら大切な幼なじみまでよりいっそうグジグジしてキモくなるし。」
無礼だ無礼
「ありがとね、健斗は頑張って声かけてくれてたけど。ぶっちゃけ近くにいてくれるだけで良かったんだ。
健斗と一緒にいると心が落ち着くからね。」
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