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二年生の六月俺たちは高校生活最大のイベント、修学旅行で京都に来ている。
四泊五日のスケジュールの四日目。二日ある班行動の二日目。俺たちの班は五人班で鞍馬健斗、雨宮恵美、五反田翼、山崎梨佐、そして俺、佐藤洋で構成されている。
「鞍馬口…健斗となんか関係あるのかな?」
雨宮が京都の路線図を見ながら健斗に話しかける。
「どうなんだろ、うちの苗字はすげー少ないから調べても出てこないんだよ。翼待って勝手に進むな!」
健斗はガイドブックに目をやりながら雨宮の話に合わせる。その一瞬に翼が間違った方向に勝手に行ってしまいそうになった。
「あ~ごめんごめん。」
翼が健斗の掛け声で一人はぐれているのに気付きとてとてと戻ってくる。
あ、人とぶつかった。
いつも注意散漫な奴だが珍しい風景により惑わされているらしい。
「つばさあんたはしょっちゅう迷子になってっ!」
面倒見のいい梨佐が翼の手をがっちりつかむ。
「あたしから離れないでね!
ってけんとめぐはや!ちょっと待ってよぉ」
立ち止まって話をしてた二人。置いて行かれて焦ってドタバタと追いついてくる。
「あ~すまん…案内表示に気取られてたわ。
洋、 二人を見といてくれ。」
と、健斗にお願いされる。あのカップルは案内係なのでそっちに目が行ってるのだろう。俺がこのチームをまとめる(物理)しかあるまい。
「了解」
「よし、じゃあまず伏見稲荷だな。電車乗るからこっち来て。」
りょーかーい!と騒ぐ梨佐とそれに振り回される翼。
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