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健斗と雨宮の痴話げんかが始まった中、梨佐が石に近づく。
「あとちょっとだよ。まっすぐこっち。」
ふらふらとへっぴり腰で歩く梨佐の手がついに石に触る。
やった!と飛び上がり目を開いた梨佐と目が合う。
よかったなと微笑みかけると梨佐は何やら真っ赤に赤面してしまった。
…なんだその反応は。
なんとなく梨佐の好きな人がわかってしまったような気がする。
その後、本殿。清水の舞台についた俺たちはまた別行動をとることになった。
雨宮と健斗は二人、その他は一人で行動する。
夕方になり夕焼けに染まる京都を写真に収める。
ふと、今日撮った写真を見返していると。梨佐が後ろから声をかけてくる。
「なにしてんの?カメラばっか見てさ。」
先ほどまでとはうって変わって静かめな梨佐。旅でテンション上がってたんだろうか。
「んとね。綺麗な写真って素敵な写真とは違うものなんだなって思ってさ。」
梨佐がカメラの液晶パネルをのぞいてくる。
「写真部となるとそんなことまで考えるんだね。
わたしにはどれもいい写真に見えるけど。」
俺が切り替えていく写真に梨佐は、楽しそうに思い出を語る。
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