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「まあさ、私だって自分がうまくやれてるとは思ってないよ。
鞍馬の言ったみたいにしたらこんなことにならないってことも知ってる。」
急に雨宮がおとなしくなる。
こいつがしおらしいなんてめずらしい。
「それじゃなんでそうしないんだ?」
ふと、そう聞く。
上手くいく方を選んだ方が楽だろうに
隣を走る彼女の方をみると、自信に満ちた笑顔を向けてくる。
「だって、自分自身に正直に生きたいじゃない?
うまく行くからって自分の考えを変えたくないの。」
彼女はそういう。
「社会じゃ通用しないんじゃないか?それ」
俺は彼女が何回も言われたであろうことを口にする。
「それもわかってるよ。私がこんなことで反論するのは学生で、子供でいれるうちだけ。
社会に出たらこんなささいなこと、鞍馬みたいにうまく受け流すさ。」
けど、
「子供でいるうちは、その時にしかできないことをやる!」
そんな子供みたいな言葉に俺はつい笑ってしまった。
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