第22章 桐島彩 1

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「だいじょうぶ?」 あれ? 「汗が酷いなぁ。風邪でもひいちゃった感じ?」 目がもとに戻っていた。 いや、それでも鋭く黒い。なにを考えているかわからないような目だ。 けれど、さっきまでの、恐怖を感じさせるようなものではない。 「あ…さっきの、は……」 「さっき?」 首を傾げる。 「いや……なんでも、ない」 見間違い、ではないはずだ。 「あ、そうだ。冷湿布買ってきたよ。聞いたらね、打撲とかは冷やした方がいいらしいんだ。 血管が収縮されて痛みが収まるんだとか」 説明しながら、片手に持っていたビニール袋をあさる。 「それで三日くらいして腫れがひいてきたら今度は温めるんだってさ」 そして取り出したのは。 ハンマーだった。 「ま、そこまで回復させないけどね」 刹那。 視界がぶれた。 全てのものが形を失った。
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