「外食嫌いのお話」

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姉「大丈夫大丈夫、弟がご飯を作って食べさせてくれたら、その機能は使わないでおくさ」 弟「何!? 任意なの!? その自爆機能任意なの!?」 姉「おいおい、自爆だなんて言っていないだろう。ちゃんと私は傷一つ負わないぞ」 弟「周りしか損しねぇ! 威力と代償が釣り合ってない!」 姉「弟、私はよく思うんだがな。漫画とかでよくあるだろう。敵が所有する強い能力には、それ相応の代償がある。いや、あって然るべきだ。という風潮。それって、逆にご都合主義じゃないか? 敵の能力に必ず弱点があるという、暗黙の了解というものは、主人公サイドに対して有利すぎる。だから、見たら相手は死ぬ(壁越しでも&目玉再生機能&監視カメラ越しでも)くらいの能力があっても、それは有り得るべきことだと思うんだ。だから私が自爆しても傷を負わないのはズルくない。なんらズルくないと言い切れる」 弟「ズルいわ! 理不尽すぎる!」 姉「いやいや、まずそんな能力がある時点で理不尽なんだから、理不尽な能力にデメリットを求めるなんて、それってナンセンスだと思うぞ。なんだか弟は、ファンタジーに対して妙な現実味を求めすぎだと思うんだ。魔法を使えるという設定を許容するくせに、魔法に理論を要求するような感じだな。魔法というファンタジーに、現実味など皆無だというのに、な。もし仮に魔法の論理などあったとしても、それは誰かの妄想でしかない。そんな虚構の理屈を欲するなんて正直私には理解し難いな。滑稽とさえ思え」 弟「ううううるさいわ! 外食に行きたくないからって俺の心を抉り倒すな! あるもんね! 魔法もあるし、魔法の理論もこの世にあるもんね! 転移したことあるかんな! 証拠はあるかんな!」 姉「ちっ、弟の心を抉り倒して、外食の件を有耶無耶にしようとしていたのがバレてしまった。他の策を練らねば……」 弟「話聞けよ! 魔法も奇跡も、あるんだよ! あるんだって! あるっつってんだろ! だからさっきの、俺の心の中にある触れてはいけない部分に突き刺すような考察を取り消せ! 少年漫画のセオリーを返して! 主人公サイドの逆転の芽を摘まないであげて!」
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