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「諸君に報恩感謝!」
「諸君に幸を!」
「東北を頼む!」
「ありがとう!」と。
感慨の伝達の連鎖を終えた剛は、往時を彷彿させる肖像画の前で一礼し、寝静まった仙台の街路を歩いた。東北特有のヒリヒリする冷気が肌を刺し、空には無数の星の輝きが幾何学模様を描いていた。
「綺麗な星だ!」
夜空を見上げることも何処かに置き忘れていた剛の胸に、温かいものがこみ上げた。それは、凍える全身をいっきに融かしていくほど熱い昂奮であった。
オリオン星座の神話が思い浮かんだ。斜め一文字に並ぶ三つ星が、懸命に生きる東北の人々の希望の光に、剛の盟友の瞳の輝きに、そして、亡き会長の言霊の金字塔ように一瞬、大きな輝きを放った。
その瞬間、何万光年も隔たる銀河に、
「頑張って下さい! 負けるな!!!」
「いつまでもいつまでも見守り続けます!」
「中村会長! 東北は最高です!」
「勇社長! 仙台は素晴らしい街です!」
「人の力は無限です!!!」と、
狼の遠吠えのような叫び声が夜の静寂を切り裂くように響いた。
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