天の加護

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 翌朝、剛は凄まじい興奮と異様な緊張をひた隠し、午前八時に京都へ向かった。母親には、 『アルバイトを探すから…』と、 他愛ない嘘を口にしたが、行き先は明白だった。   面が割れていないことが功を奏し、苦もなく彼等の待ち伏せに成功した剛は、少し離れた背後から彼等の振舞いに目を光らせた。彼等は店員と常連客の挙動に神経を尖らせ、剛のストーカー行為には全く気づいていなかった。勿怪の幸いとはこの事だろう。彼等は丁寧にすべてを剛の目の前で曝けだした。高校二年生の夏休みに先輩達と悪ふざけでパチンコに熱中した事も幸いし、いとも簡単に彼等の策謀と巧妙な手口を見破った。   「ノープログラム!」 「俺にもできる!」 「これで、間違いなく金が稼げる!」 「これで両親に金の心配をさせなくて済む!」 「これは親孝行と思えばいい!」 「最高のアルバイトだ!」   「俺には才能がある! ハングリー精神だ!」 剛の頭の中に罪の意識など欠片もなく、彼等の息のかかってないパチンコ店の物色に駆けずり廻った。  そして、一週間後、通学経路沿いの一件のパチンコ店に狙いを定めた。念には念を入れ、二日間、店員の人数や客の出入りを事細かく調べ上げ、水面下での工作は完了した。    
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