第1章

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――――― なんて、可愛くない子供だったんだろう。 「夢」を見るだけで満足できなかった。 それを実現する姿が見えない以上、夢は夢でしかなく、描いても無駄でしかない。 そんな、割り切った感情が、どこかにあった。 たぶん、サンタクロースも信じていなかったんだろう。 朝枕元に置かれたプレゼント。 それは、いつも自分が欲しかったものではなかった。 一番欲しかったのは・・・ 「父」だった。 一緒にキャッチボールをしたり。 銭湯の男湯に入ってくれるような。 まわりの皆が、普通に思う日常。 窓から見えるクリスマスツリーの輝き。 食卓を囲む家族。 それは、憧れでもあり、同時に俺の手には入らないものだった。
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