第1章

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お父さんがいない。 お父さんが欲しい。 お父さんがいないなら、俺がお母さんを守らなきゃいけない! 願いが決意に変わったとき、俺は大人になった。 ・・・だけど、実際は無力な子供だった。 どうやって守ればいいのかもわからなかった。 ただ、苦しいことを必死に我慢して、耐えるだけ。 学校なんて行きたくない。 勉強しないと、いい大人になれないぞ。 あなたは、しっかり勉強して、お父さんみたいにならないでね。 心配かけちゃいけない。 寂しいなんて言っちゃいけない。 俺は、一人でも平気だ。 だって、俺は大人なんだから。 「早く大人になりたい」 それが、唯一の夢だった。
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