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フロアの案内図がある前で、また足を止めてしまう。
案内図の示している方を見たら、その先から女の人が歩いてくるのが見えた。
「あの、すみません」
「いかがされましたか?」
「営業1課の神谷さんに用があるので、お会いしたいのですが……」
「……あぁ、神谷さん?こちらですけど」
神谷さんのファンと思われたのかな?突然、不機嫌な顔をされた。
カツカツと歩く度に響く、2人分のヒールの音。
「神谷さんは多忙な人だから、こういうの迷惑だと思うけど」
私を案内しながら前を歩くこの人は、聞こえるようにそう呟いた。
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