2

27/35
前へ
/35ページ
次へ
「彩星、今、なんて言った?」 「ほのかに甘い香りがして、線が細いのに力強い?」 「ふぅーん……何かあったでしょ?」 部長がどんな人か思い出していたら、つい今朝のことを話していた。 ……力強く引き寄せられたこと。至近距離で見つめあったこと。 逃がしてくれそうにない麻耶に、今日までのことと、今夜の集まりのことを話した。 「彩星、顔赤い!」 「うるさいなぁー。見た目タイプ過ぎるの」 「それで、狙ってるの?」 「狙ってないよ。そういうんじゃないの。なんか上手くいかない気がするし。それに仕事なんだから、公私混同はしたくないもん」 「ふーん。言い訳しちゃって珍しく弱気だね」 「私は絶対に好きにならないの」 カフェを出て駅まで戻る間、途中にある歯医者の前で麻耶を見送り、資料を探しに街へ繰り出した。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

161人が本棚に入れています
本棚に追加