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「彩星、今、なんて言った?」
「ほのかに甘い香りがして、線が細いのに力強い?」
「ふぅーん……何かあったでしょ?」
部長がどんな人か思い出していたら、つい今朝のことを話していた。
……力強く引き寄せられたこと。至近距離で見つめあったこと。
逃がしてくれそうにない麻耶に、今日までのことと、今夜の集まりのことを話した。
「彩星、顔赤い!」
「うるさいなぁー。見た目タイプ過ぎるの」
「それで、狙ってるの?」
「狙ってないよ。そういうんじゃないの。なんか上手くいかない気がするし。それに仕事なんだから、公私混同はしたくないもん」
「ふーん。言い訳しちゃって珍しく弱気だね」
「私は絶対に好きにならないの」
カフェを出て駅まで戻る間、途中にある歯医者の前で麻耶を見送り、資料を探しに街へ繰り出した。
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